東京・渋谷に、世界の注目を集める一つのAIスタートアップが拠点を構えた。KanjuTech──ロシア科学アカデミー出身の脳科学者たちが創業したこの企業は、従来のAI技術とは一線を画す「スパイキングニューラルネットワーク」を武器に、ロボットや産業機器向けの「物理AI」という新領域を切り拓こうとしている。ChatGPTに代表される生成AIが世界を席巻する中、なぜ彼らは「現実世界と相互作用するAI」に注目するのか。そして、なぜ日本を選んだのか。
共同創業者のOleg Nikitin氏(CEO)、Alex Kunin氏(COO)、Olivia Lukyanova氏(CTO)の3人は、10年以上にわたり脳にインスパイアされたAI技術の研究を重ねてきた。その技術は、従来の深層学習とは根本的に異なるアプローチで、エネルギー効率が高く、リアルタイムで学習を続けられるという特徴を持つ。彼らが開発する技術は、自動運転車、倉庫ロボット、産業用IoT機器など、常に変化する現実世界で動作する「物理システム」のためのAIだ。
渋谷区のスタートアップビザ制度を活用して日本に進出したKanjuTechは、すでに複数の日本企業とPoC(概念実証)プロジェクトを進めている。産業用冷却システムの最適化から、港湾の石油積載アームの自動制御まで、その応用範囲は広い。日本のロボティクス産業や製造業の成熟度、そして新技術への開放性が、彼らを日本市場へと導いた。本記事では、KanjuTechの技術的な独自性、日本での事業展開、そして彼らが見る日本のスタートアップエコシステムの未来について、詳しく掘り下げていく。
ロシアから東京へ、脳科学者が選んだ日本市場

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KanjuTechの物語は、ロシア科学アカデミーでの研究から始まる。共同創業者の3人は、機械学習と神経科学を融合させた「スパイキングニューラルネットワーク」の研究に従事していた。これは、人間の脳内で神経細胞(ニューロン)が電気信号のスパイクを通じてコミュニケーションする仕組みを模倣した、次世代のAI技術だ。
私たちはロシア科学アカデミーで、機械学習と神経科学を組み合わせ、脳にインスパイアされた次世代AIを構築していました。これは、脳内の神経細胞がスパイク動作で機能する仕組み(神経細胞が電気信号のスパイクを生成し、電気信号を通じて対話する仕組み)に基づいています。(Nikitin氏)
彼らはこのスパイキングニューラルネットワークを構築し、学術的なキャリアのある時点で、研究を理論から実践的な応用に移せることを理解した。2020年、3人は研究成果を事業化するため、KanjuTechを創業した。
当初は大規模言語モデル(LLM)の開発を目指していたが、リソースの制約から方向転換を余儀なくされる。沖縄科学技術大学院大学(OIST)のアクセラレータープログラムに参加中、彼らは音声認識という新たな応用分野を見出した。スパイキングニューラルネットワークは、複数の独立した信号──複数の話者の声──を識別し、誰が話しているかを理解する能力に優れていたからだ。
しかし、音声認識市場もまた競争が激しく、大手プレーヤーがひしめいていた。ベンチマークでは圧倒的に優れた結果を出していたものの、良いクライアントを獲得することはできなかった。そして最終的に、彼らは自分たちの技術が真に輝く領域を見つけた──それが「物理AI」、つまりロボット、センサー、産業システムなど、現実世界と相互作用する物理システムのためのAIだった。
2022年に香港で法人登記を行い、東南アジアを拠点に活動していたKanjuTechだが、2025年、渋谷区のスタートアップビザを取得し、日本に本格進出を果たす。渋谷区のShibuya Startup Supportは、彼らのために多くの扉を開き、日本でのビジネス展開を強力に支援している。
Nikitin氏によれば、日本は応用ロボティクスや産業システムにおいて世界で最も先進的な場所の一つだという。中国も先進的だが、ヨーロッパやアメリカに比べ、日本では技術スタックが常に進化しており、企業はイノベーションと応用に対して準備ができている。特に、ハードウェアに接続したり物理的なものを構築したりする場合、日本が最良の場所だという。
もう一つの理由は、日本の大企業のイノベーションへのアプローチです。彼らはスタートアップから新しい技術を求めており、PoC製品の構築、共同製品の開発、そしてスタートアップと共に製品を供給チェーンに導入することに非常にオープンです。
欧米の大企業は、実際にはスタートアップと構築するよりも社内で構築することを好む傾向があります。なぜなら、彼らは常にフローをコントロールすることに気を配っているからです。しかし、日本は、より信頼社会なので、(企業が)スタートアップと協業して構築する方が適しているのです。(Nikitin氏)
「物理AI」という新領域

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ChatGPTやMidjourneyなどの生成AIが世界的な注目を集める中、KanjuTechが取り組む「物理AI」は、まったく異なる領域に位置している。生成AIが画像生成やテキスト処理といったデジタル世界での処理に特化しているのに対し、物理AIは、ロボット、自動運転車、産業機器など、現実世界と物理的に相互作用するシステムのためのAIだ。
Nikitin氏によれば、生成AIやLLM、画像生成技術は、デジタル世界と相互作用するために構築されているが、KanjuTechは物理世界のために技術を構築している。特に注力しているのが、ニューラルネットワークの「生涯継続学習」という分野だ。現在、この分野に取り組んでいる企業は多くないが、ロボティクスや自動運転の台頭を考えれば、物理システム向けのAI市場も、生成AI市場と同等の規模になると予測される。
KanjuTechのアプローチは、従来のTrasformerベースのシステムとは根本的に異なる。Transformerベースのシステムは、高レベルの認識と推論のために構築されている。例えば、ロボットに何がテーブルで、何がオブジェクトか、そしてそれらの背後にあるセマンティクスを理解させる。しかし、ロボットに「どうやってテーブルに近づくか」「どうやって物体を掴むか」「どうやって動作を実行するか」を教えるには、高レベルのLLMでは遅すぎる。
実際、Nikitin氏が東京のあるAIロボティクス企業の創業者と話したところ、ビジョン、アクション実行、言語のための大規模ビジュアルアクションモデルに基づくシステムでは、各クエリと応答に1,400ミリ秒かかるという。各アクション実行に400ミリ秒も必要とするため、このような技術を使ったロボットは非常にゆっくりとしか動けない。
だから、人間の神経生理学におけるシステム1とシステム2のようなものが必要なのです。システム2は私たちの脳で、高レベルの推論です。
そしてシステム1は、私たちの小脳や脊髄での実行で、正しい方法でアクションを行い、アクションを実行します。私たちはここでシステム1のようなことをしています。(Nikitin氏)
Lukyanova氏は、KanjuTechのシステムの独自性をさらに明確に説明してくれた。
私たちのシステムは時間を必要としません。動物がするように、その場で学習します。動物が生まれたとき、その後、環境や自分自身、周囲のさまざまな物体について学び始めます。私たちのシステムはそのように機能します。常に学習しています。
そして、事前学習の時間を必要としません。伝統的なニューラルネットワークでは、動作を開始する前に事前学習が必要です。事前に何かを学習する必要があり、その後、環境で使用を開始できます。しかし、私たちのシステムでは、ただ置くだけで、その場で学習できます。移動しながら同時に学習します。(Lukyanova氏)
この「動きながら学習する」能力こそが、物理AIの核心だ。現実世界は予測不可能であり、常に変化している。倉庫のレイアウトが変わる、道路の状況が刻々と変わる、製造ラインに新しい部品が導入される──こうした変化に、従来のAIは対応できない。事前に学習したデータにない状況に直面すると、AIは「凍結」してしまう。KanjuTechの技術は、この問題を根本から解決しようとしている。
継続学習とエネルギー効率

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KanjuTechの技術的な優位性は、大きく2つの点に集約される。一つは「継続学習(Lifelong Learning)」能力、もう一つは圧倒的なエネルギー効率だ。
継続学習とは、AIが稼働しながら新しい情報を学習し続ける能力のことだ。従来のディープラーニングモデルは、大量のデータで事前に訓練され、その後は基本的に「凍結」状態となる。新しいタイプの物体やシナリオを認識させるには、モデルを一から再訓練する必要がある。そして、この再訓練には深刻な問題が伴う──「Catastrophic Forgetting(破滅的忘却) 」だ。
私たちのシステムは、以前のことを忘れません。新しいことを学習しますが、以前のこと、以前のさまざまな物体やタスクを覚えています。しかし、現在のニューラルネットワークでは、再学習が必要で、以前の知識を忘れてしまいます。(Lukyanova氏)
ネットワークに新しいタイプの物体を導入する場合、モデルを最初から再訓練する必要があり、従来のニューラルネットワークはこの問題に陥りやすい。世界中には、一般的なディープラーニングアルゴリズムのためにカタストロフィックフォーゲッティングを防ぐ研究をしている企業や研究室もあるが、一般的なディープラーニングをデプロイすることは、この問題の根本的な解決策ではないという。
この継続学習能力は、特にロボティクスや産業機器にとって重要だ。例えば、倉庫ロボットは、新しいレイアウトや新しい種類の荷物に適応する必要がある。従来のシステムでは、そのたびに稼働を停止し、再訓練を行わなければならない。しかしKanjuTechの技術を使えば、ロボットは稼働しながら新しい環境に適応していく。
もう一つの大きな強みが、エネルギー効率だ。LLMやビジョンモデルは、膨大な計算リソースを必要とし、データセンターのGPUクラスターで動作する。しかし、ロボットや産業機器は、そのような大規模なインフラを持ち運ぶことはできない。
一般的なAI、LLMは、実行に多くの計算を必要とするため、多くのGPUとデータセンター、クラウドから実行されます。しかし、私たちが行っているのは、実行と訓練において桁違いに、100〜1,000倍も計算効率的です。
そのため、組み込みハードウェアにデプロイできます。完全な推論モデル、言語理解のためのモデルではないかもしれませんが、少なくともNVIDIA Jetsonのようなデバイスやメディアコンピュータにデプロイして訓練でき、継続的な適応と訓練を行うことができます。(Nikitin氏)
KanjuTechのシステムは、クラウド、オンプレミスサーバー、そしてモバイルロボットに搭載された組み込みシステムのいずれでも動作する。現在のロボットは毎週再訓練が必要で、時には稼働を停止してコストが発生するが、KanjuTechの技術はこれを防ぐことができる。
最もエネルギー効率の良いデプロイ戦略は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を使用することだ。FPGAは再プログラム可能なハードウェアで、ユーザーが独自の命令セットを設計できる。一般的なプロセッサは汎用的で計算方法が固定されているが、FPGAでは独自の命令セットを書くことができ、プログラムの最も効率的な実行を設計できる。ソフトウェアレイヤーやオペレーティングシステムなどを介さず、ニューラルネットワークをハードウェアレイヤーに直接配置することで、通常のニューラルネットワークよりも1,600倍エネルギー効率的になるという。
日本市場での展開──産業用冷却から石油積載まで

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KanjuTechは、自社の技術を「基盤モデル(Foundational Model)」と位置づけている。これは、特定の用途に限定されるのではなく、さまざまな産業や応用に適用できる汎用性の高い技術だということだ。
私たちは基盤モデルを構築しました。これは、実行やセンサー認知、低レベルシステム、センサー、物理デバイスなどに接続されたすべてのものに、本質的にどこでも適用できる次世代モデルです。
そして明らかに、これが多くの応用に変更または移行できることを理解しています。シフト制御、CNC(コンピュータ数値制御)マシンの故障予測、発電所間の発電機の故障予測など、さまざまな分野があります。異なる分野ですが、その背後にある基盤技術は同じです。(Nikitin氏)
そのため、KanjuTechは段階的な製品開発戦略を採用している。実現可能な時間内に処理できる特定の重要な産業から一つの問題を取り上げ、それから製品を構築する。PoCを経て、スケーラブルに他の企業にパッケージ化できる製品として開発し、その後別の分野に移動する。現在、将来のために4つまたは5つのスケジュールされた応用がある。
現在、KanjuTechが取り組んでいる具体的なプロジェクトは以下の通りだ。
まず、「産業用冷却」の最適化だ。これは、ビルや商業施設、産業サイト向けの冷却システムのエネルギー消費を最適化するプロジェクトで、すでにタイ北部でPoCを実施している。
次に、「エネルギー生成」分野だ。中央アジアの大手エネルギー企業と、風力発電所や将来の発電所での故障予測に関するPoCを予定している。
3つ目が「モバイルロボティクス」で、倉庫物流や農業向けのロボットナビゲーションの効率化に取り組んでいる。フリーズなどの故障なく、より効率的にナビゲートできるようにするための製品または共同製品を開発中だ。
そして最初に着手するのが、「石油積載アームの自動制御とセンサー認識」だ。これは海洋産業向けのクレーンで、港で石油を荷降ろしするために使われる。制御が非常に困難な複雑なタスクだという。
Kunin氏によれば、彼らはホリゾンタルなプロダクトを提供する会社として、各産業毎にステップバイステップで進む必要がある。2026年第1四半期に日本企業とのPoCをすでにスケジュールしており、日本に企業とパートナーがいる。日本市場は、KanjuTechの技術を実証し、スケールアップするための重要な足がかりとなっている。
グローバル展開への布石──資金調達とチーム拡大

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スタートアップの成長には、資金とチームの拡大が不可欠だ。KanjuTechも例外ではない。現在、彼らはAntlerと別の投資家から26万米ドルを調達済みで、2025年内に100万米ドルのプレシードラウンドのクローズを目指している。その後、2026年には技術のスケーリングのために2,000万〜3,000万米ドルの大型調達を予定している。各製品に対して約10人が必要になるため、今後数年間で6つ、7つ、または8つの製品を持つ計画だという。
チームの拡大についても、慎重なアプローチを取っている。多くのAI企業が大量のエンジニアを雇用する中、KanjuTechは小規模なチームを維持している。
基盤AIを構築することは、興味深い分野です。例えば、トランスフォーマーベースのアーキテクチャ、LLMアーキテクチャで構築された初期の企業、OpenAI、Google Brain、Google DeepMindのような企業を見てみると、彼らは当初、かなり小規模なチームから始まりました。
なぜなら、新しい基盤モデルを構築する場合、実際にはそれほど多くの人を必要としないからです。何をすべきかを知っている、その分野で最高の人々が必要なだけです。まずコア技術を構築し、それから製品と応用として広める必要があります。(Nikitin氏)
Nikitin氏によれば、3人のチームはこの技術に会社を始める前に約10年間、そして会社を始めてからの5年間を合わせて、すでに15年をコードベースやアプローチなどに費やしてきたという。人間時間で言えば、この技術を構築するために膨大な時間を費やしてきた。
しかし、もちろん拡大は必要だ。現在は、産業標準とは非常に異なる独自のスタックを持っているため、小規模なチームで最初のショーケースを最終化したいと考えている。より多くの人々を導入することに時間を費やすより、まず実績を作ることを優先している。
最初のショーケースの後は、電気および組み込みエンジニア、計算神経科学者と数学者を雇い、アプローチを広める予定だ。技術スタッフが多く必要になるが、日本はそれを行うのに良い場所だという。2026年中に、チームを約10人程度に成長させる計画だ。
日本のスタートアップエコシステムへの提言

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日本でビジネスを展開する中で、KanjuTechのチームは日本のスタートアップエコシステムの長所と課題の両方を体験してきた。彼らの率直な意見は、日本のイノベーション環境を改善するための貴重な示唆に富んでいる。
まず、日本での経験は概ね好意的だ。Lukyanova氏は、日本の環境の成熟度や、ロボティクスやこの分野全体に触発された人々の多さに驚いているという。この技術で働きたいと思う人々、そしてコラボレーションしたいと思う人々の多さは、以前どの国でも見つけたことがなかったという。さまざまな会議で、この分野に興味を持っている科学者を多く見つけ、彼らと対話でき、新しいインスピレーションを得られることに刺激を受けている。
一方で、改善の余地もある。特に、Kunin氏が指摘するのは、ハードウェア企業とソフトウェア企業の協業の必要性だ。
私たちとしては、日本企業がスタートアップと協業する際、もう少しリスクを許容してくれることを望んでいます。これは私たちだけの問題ではありません。
日本のハードウェア製造業は非常に成熟しています。そこに先進的なソフトウェア技術が組み合わされば、日本の産業と経済全体を大きく加速させることができるはずです。
ですから、ソフトウェア企業とハードウェア企業の協業を、さらに深いレベルに引き上げていく必要があると考えています。(Kunin氏)
Kunin氏は、ソフトウェアAI企業とハードウェア企業の間のコラボレーションのケースがもっと増えることで、私たちの周りの本当の自律的なものなど、はるかに多くの価値をもたらすだろうと確信している。企業間のコラボレーションはもっと緊密であるべきだという。
また、Nikitin氏は、多くの日本のベンチャーキャピタル(VC)と話をしてきた中で、グローバルな概観や市場のグローバルな理解が欠けているVCがいることに気づいたという。彼らは、日本国内で適用される小規模ビジネスに焦点を当てる傾向があり、スタートアップのバリュエーションが低く抑える傾向があるという。
このようなことが作用して、日本のスタートアップの多くの創業者は、大きなことや大きなアイデア、大きなビジネス応用に挑戦する動機があまりないかもしれない。時には、日本のVCは、ディスラプティブな新しいビジネスを構築したり、新しい市場を定義したりするよりも、IT分野の中小企業に投資しているようなものだという。
ただし、Kunin氏は、この問題は日本特有のものではないと指摘する。ある側面においては、日本のVC、ヨーロッパのVC、アメリカのVCの間に大きなギャップは見られないというのが彼の見立てだ。
多くのVCがプレシードに投資すると主張していますが、実際に話してみると、最初に尋ねられるのは「収益はあるか」「どれだけのトラクションがあるか」ということです。これは日本でも、アメリカでも、ヨーロッパでも同じです。(Kunin氏)
シリーズA、シリーズBのようなレイターステージでは少し事情が違うかもしれないが、プレシードのフェーズでは、世界中のVCの考え方に本当に大きな違いは見られない。誰もが低リスクで投資したいと考えているという点で共通しているのだ。
一方で、日本のスタートアップ支援プログラムの価値は高く評価されている。
Shibuya Startup SupportやOISTのアクセラレータープログラムのようなプログラムに参加することを、他のスタートアップにお勧めしたいと思います。
なぜなら、日本では紹介が多くの意味を持ち、ネットワークに入ることができれば、実際にはそれほど複雑ではないからです。人々があなたを信頼し、公然とあなたと協力するようになり、このようなことが起こります。
しかし、手持ちの札がない場合、この市場にアプローチするのは非常に困難です。だから、日本でスタートアップをやっているなら、Shibuya Startup Supportのような素晴らしいパートナーや、特定の産業にいる場合は他の研究機関、産業や企業のための研究機関とのパートナーシップを持つべきです。(Nikitin氏)
Kunin氏によれば、これから起業しようとしている人々は、まだ安定したキャリアや給与を持っているため、起業を始めることを恐れる傾向があるという。
日本には、低リスクでいくつかのステップを踏む機会を提供している多くのコミュニティがあります。ネットワーキングパーティーから始めて、メンターシップセッションを開始し、実際に構築したいものについてアイデアを共有できます。ですから、始めるにも、試すにも良い時期なのです。(Kunin氏)
ロシアで起業家とスタートアップコミュニティがどのように変化したかを見た彼らは、今、日本で何が起こっているかに多くの共通点を見出している。若くても若くなくても、多くの起業家が日本経済のコミュニティに多くの価値をもたらすことができると確信していると述べ、日本の起業家にエールを送った。
今後、KanjuTechは日本市場での実績を武器に、2026年に2,000万〜3,000万米ドルの大型資金調達を目指す。彼らの技術が日本企業の製品に組み込まれ、世界市場に展開されていく日も、そう遠くないかもしれない。脳科学から生まれた次世代AI技術が、日本から世界へと羽ばたく──その物語は、今まさに始まったばかりだ。
